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ガソダム00非公式ファンブログ /女性向け注意/オンラインブクマ禁止/無断転載禁止/ ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。 ネタバレ配慮皆無、週遅れなし。 !15禁! キリ番踏んだぜ!って方は拍手かコメントでリクをいただければ最優先で何か書かせていただきますぜ旦那
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2024/05/19(Sun) 01:31:37
ビリグラ出会い編。
捏造です。設定が出る前に存分に妄想しておく…!
もうちょい長編で一本ちゃんと書きたい…な…!

おkな方はハムのシャウトからどうぞ。



 運命だと思った。
 …なんて言うと、例のロマンチストが伝染ったようだけれど、それはあながち間違っていないかもしれない。
 僕は、運命に出逢った。


 当時―そう、今から考えれば、10年も前のことになる―僕は大学の研究室に篭もる生活を続けていた。研究室の端には万年床と化した寝袋が幾つか転がっており、僕ら学生は昼夜を問わずデータ解析や機械弄りや設計図面作りに追われていた。研究所はたいてい静かだったが、時折誰かが知恵を貸してくれと泣きが入り始めると、皆でうんうん唸って新案を出すべく議論し、寝不足特有のハイテンションで大声を出し合っては、社長出勤してきた教授に苦笑されるという日々だった。では今とさほど変わらないではないかと言われればその通りなのだが、その当時ほど僕らは若くないし、近くに仮眠室もあるから寝袋は転がっていない、と言っておこう。
 僕はもう院に行くことを決めていたので、やれ説明会だのインターンだのと急に活動的になって夜行性を脱する就職組とは違い、お気楽に昼夜入り混じった不規則な研究生活を満喫していた。
 実は機械を実際に弄る方が好きな性質で、これから先研究をしていくとしても、大学教授になるよりは開発者として現場に出る方が魅力的だと思っていた。だがその頃は本当に漠然と思っていただけだ。飛びぬけて僕の理論が先進的だとか、アイディアが奇抜だと言われたことはなかったから、さほど優秀な生徒でもなかったろう。優秀といえば飛び級をしてきたクジョウがそうだった。彼女は合計2年スキップしていて、1回生としてうちのゼミに入ってきた。戦況予報を専門にしたいらしく、うちの教授―エイフマン教授に会ったときはいたく感激していた。エイフマン教授はMSそのものにおいてはもちろん、MS間戦闘に始まり、政治経済、文化宗教まで幅広く奥深い知識を持った人で、そのどこかお茶目な人柄も含め、皆彼を尊敬して止まなかった。
 まあ、クジョウとはいろいろあったのだが、その話はまたの機会にしよう。今日は、僕の運命について話すのだから。

 クジョウは非常に魅力的な女性だった。容姿はもちろん、意志の強い目、勘の良さからくる軽快な会話術、適度なユーモアとアイロニー、ほどよく下品でほどよく高尚だった。彼女はすぐに研究室に溶け込んだ。僕たちはよく議論を交わすようになった。分野の少しずれた相手と会話するのは有意義だったし楽しかった。そんな彼女の口から、最近校内で話題になっているという男の話を聞いた。男というより、少年だという。
 その人物は、どうやら4回スキップしているらしく、僕と同学年に編入してきたらしい。MSの戦略系を専門にしているというから、いくつかの講義で一緒の教室にいるはずだった。彼は金髪碧眼の見たまま貴公子で、なんとか言う名家出身らしい。4回のスキップでうちの大学にくるなんて、太陽エネルギー開発系を専攻して国家所属技術者まっしぐらな人間が多かったから、MS研究を専攻する連中からは随分浮いているのだろう。
 「で、その変人がどうかしたのかい?」
「あなたが変人って言うと彼がよっぽど変人みたいね」
クジョウはくすくすと笑ってコーヒーを飲んだ。僕は否定できる身分でもないので、肩を竦めて煙草の灰を落とす。その日、中庭にはあまり人気がなく、僕らは心地よい日差しの中で虫干しされる気分でのんびりしていた。日の当たらない研究室にずっといると、しなびちゃうわよ、とはクジョウの言葉だ。全く、うちの研究室の人間は彼女にだけは敵わない。
「確かに彼、ちょっと変わってるわよ。美形だからモテるみたいだけど、ことごとくお断りするし、彼女がいるわけでもなさそうだし、あの名家のご子息なのに寮に住んでるみたいだし」
流石は戦況予報士志望、得られる情報は漏らさず手に入れているらしい。
「以前の大学では何を専攻してたんだろうね」
「やっぱりMS関連よ。と言っても、」
彼女は一旦言葉を切った。不可解、と顔に書いてある。
「航空系統だから、操縦が専門みたいね。もうライセンスは取得してるって噂もあるけど、真偽は不明よ」
「確かに変わり者みたいだね。よほどのMSマニアらしい」
「そうね。まるで極めたいみたい。…PMCでも入るのかしら?」
「だったら養成学校や軍属になったほうが…」
まったく不可解だった。やり方が丁寧すぎて、逆に不自然に見える。大体、名家のお坊ちゃんがPMCに所属するとは考えにくかったし、職業軍人になるのなら近道はいくらでもある。それこそ士官学校に行かないことがひどく不自然だ。
「ビリーなら、話が合うんじゃない?」
クジョウが面白そうに言った。僕は短くなった煙草を灰皿に放り込んで笑った。
「変わり者同士だそうだからね」

 前日の徹夜が祟り、その日はその後すぐに研究室の寝袋に潜り込んで眠ってしまった。目を覚ましたのは夕方だったから、4時間程度眠ったことになる。幾分頭がすっきりしていたので、白衣を着て日の光でも浴びに行くことにする。そのままのそのそと端末に向かわなくなったのは、クジョウが来てからの進歩だった。
 研究室を出ると、廊下の窓から夕日が差し込んでいた。眩しさに目を細める。これだけ眩しければエネルギーも大きいわけだな、と寝起きの頭で感慨深く思っていると、背後から軽快な足音が聞こえてきた。余談だが、僕は視力がとても弱い。そのためか、遠くにいる人物を足音と背格好で判別する癖がついていた。この足音は研究室の人間のものではない。好奇心から僕は、振り返った。



 そこに僕の運命がいた。



 ハニーブロンドに夕陽が溶けて淡い光を放ってきれいだった。背は僕より随分低く、けれどこちらを見つめる瞳にはそれを忘れさせるような存在感と意思の強さがあった。まだ少年らしいあどけなさを残した表情も、成長しきらない細い体躯も、重そうに抱えたたくさんの資料さえ、僕は今も鮮明に思い出すことができる。
 「…ここの研究室の人ですか」
高めのよく通る声で彼は言った。呆けていた僕は、取り繕うように曖昧に笑ってそうだよと答える。彼がクジョウの言っていた人だと、すぐに分かった。
「エイフマン教授にお会いしたいのですが、ご在室ですか」
「いや、教授は講演に呼ばれたとかで、今日は戻らないよ。何の用事だったんだい?」
彼は大きな目を更に丸くして、それから少し考える風に目線を彷徨わせた。そのくるくる変わる表情が、視線を惹きつけて離さない。
「教授の授業のレポートについて、質問が幾つかあったので伺ったんです。いらっしゃらないのでしたら、また明日改めて…」
「僕に分かることなら、相談に乗れるかもしれない。どんな質問か訊いても構わないかな?」
今にも礼を言って踵を返しそうだったので、僕はいくらか慌てて彼を引き止めた。何とかして彼ともっと話をしてみたかったのだ。どこからくるのか分からない焦燥が僕を突き動かしていた。
 案の定、彼はあからさまに不審だと言う目をして僕をねめつけた。多少いたたまれない気分になりながら、困ったように笑ってみせる。
「気に障ったなら謝るよ。悪かった。ただ、君のとっているっていう授業を多分僕も受けているだろうから、役に立てたらと思ったんだ」
後ろ髪を掻く僕に、彼はゆっくりと笑って見せた。それは初めて見た彼の笑顔だった。
「では、お願いします」
そんな風に何の含みもなく笑うのがどんなに貴重なことか、そのときの僕はまだ知らない。


to be continued...
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2007/12/07(Fri) 19:52:52
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おおおおお
長編ですなー!出会い編はぁはぁはぁ(落ち着け)

最初の、「運命と出会った」という描写にすごくドキリとしました。ビリーにとっては、グラハムという存在は本当に今後の人生にとってのキーパーソンなんですよね(^V^)

続き期待してます~!

追伸:
ビリーに対して他人行儀なグラハムに萌えました(色々と末期)



T 2007/12/07(Fri)21:50:53 編集
コメントありがとうvvv
キーパーソンだよねえええ!!同意を得られて嬉しい限りだよぉぉぉ!ハムはビリにとって人間の形をした運命だったらいいなぁ

あ、流石T様、萌えどころが素敵すぎるwww
2007/12/07(Fri)22:45:26 編集
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