ガソダム00非公式ファンブログ
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ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
ネタバレ配慮皆無、週遅れなし。
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キリ番踏んだぜ!って方は拍手かコメントでリクをいただければ最優先で何か書かせていただきますぜ旦那
【行き止まり】と同じ物語軸。
ビリー視点。グラハム→ビリー? Tの人、書いたどー 明日辺りカスタムフラッグ買っちゃいそうで怖い… いや!年が明けるまで買わないんだもん…! 組み立てる時間なぞない 29日辺りから8日くらいまで更新止まりますorz 5日のガソダムがリアタイで見られないことがこんなにつらいだなんて ひとまず明日のバイトが終わったら年末年始はハッスルする!がんばる! 「お前のことは信頼しているさ」 MSWADのエースパイロットは、いつもそう言って笑う。 あの気ままに跳ねたハニーブロンドが視界の端をちらつくようになったのは、僕がまだ学生だった頃だ。その当時から彼はとても魅力的だった。男女の区別なく人気を集めていたようだし、事実彼は誰にでも公平で、繊細なひとだった。だから彼が僕に興味を示したのは正直嬉しかったのだ。冴えない技術者志望の男の作ったMSに乗りたいと、そう言ってくれたから。 しかしいつからだったろう、その目には単なる興味や友情ではなく、別のものが浮かぶようになった。 MSは人殺しの道具だ。国家防衛だとか災害救助だとか、そんなお題目を掲げたって実際は戦闘能力ばかりを強化され続けている。それだから僕もMSに惹かれたのだ。空を翔ける。ただし、人を踏みつけにしながら。 僕は、技術開発には使用者の意見を聞くのが最も重要だと考えている。特にMSは、パイロットが謂わば要の動力だ。彼らが動かなくなればMSは粉々に破壊されるだろうし、もちろん空も飛ばない。彼らの能力を最大限引き出し、有効に活用できるMSにせねばならない。その観点から、僕はMSのパイロットが帰還し次第、データを取ることにしていた。出来得る限りはドッグで出迎え、搭乗直後の体調や感想、意見を調査する。一見手間のかかる作業だが、僕は効率的だと考えている。その時にデータの出力や不具合の調査も済ませてしまえば、パイロットとの接触は一度で済むからだ。報告書より微細な意見が聞けることも多い。 その作業にエーカー中尉が特別な意味を見出していると気付いたのは1年ほど前だ。僕がデータ作成を終えてラボに戻ろうとすると、中尉が不意に僕を呼び止めた。もはやMSについての話題がないのは明らかだったが、彼は話を長引かせたがった。僕が苦笑してやんわりと彼を遠ざけると、傷ついた顔をした。決定打だった。 確かに彼は非常に魅力的だ。彼の思考形態はたいへん面白いし、容姿は美しく、強気だが繊細だ。極め付けにパイロットとしては超一流で、MSそのものへの関心がとても強い。 だが僕は基本的にはヘテロだったし、彼に友情以上の感情を抱けるようにはできていなかった。そもそも、根本的に人間には興味がないのだ。 その日も、僕はエーカー中尉を出迎え、大方のデータを収集した。エースパイロットらしく過密なスケジュールの中に、彼はどうやっても僕のデータ収集を組み込んだ。時に長引いた話は彼がシャワーを浴びる間も続き、結果僕はよく彼のセクシーな風呂上り姿に遭遇した。それは健気にも見えたし、少しあざとい気もした。 どうやら今日もシャワー室まで長引きそうだな、と思ったので、諦めて長期戦の構えをとることにした。今回の戦闘データも彼らしくトリッキーで、僕は思わず顔を綻ばせた。彼の能力が、MSの機動性を最大限に引き出してくれている。 「君は脚部を実に巧みに使うよね」 脚部が破損したのは、きっと相手に蹴りでも食らわせてやったのだろう。近接地上戦に持ち込んだ場合、脚部を利用するパイロットは少ない。中尉は珍しいタイプで、MSについている機能はいつだって100パーセント利用した。まあ、脚部については飛行型への変形も考慮して、華奢になっているから問題は残る。その辺りについて言及すると、彼はこちらを窺うようにじっと見つめた。…ああ、僕はまた余計なことを言ったようだ。こうして彼に期待を持たせるようなことはやめようといつも思うのに。 「…ああ、気をつけるよ」 「そうしてくれると助かるよ。君ほど優秀なパイロットは他にいないからね」 パイロットという言葉を持ち出して、彼の心を遠ざけた。中尉は、表情を凍らせて少し俯いて歩いた。いつも風をきって颯爽と歩いている姿が嘘みたいだった。少しだけ胸が痛んだ。 僕は彼が嫌いじゃなかった。だから何日徹夜してでも彼の機体は完璧にチューンしたし、無茶な要望にだって答えた。成り行き上、身体も重ねた。彼が望むなら、それもいいと思ったのだ。その想いには答えられないけれど、そうすることで彼の何かを満たせるならと。もちろん良心は痛んだ。それでも美しい彼の身体を組み敷くのは楽しかったし、いつも凛としている彼をぐちゃぐちゃに汚す快感といったらなかった。彼の身体はその心と同じく繊細で、新しい場所をまさぐる度違う反応を返した。綺麗な男を抱くのもいいと思えた。彼は僕が寝る相手の一人でしかなかったけれど、その中じゃやっぱり格別だった。たまには追いかけられるのもいいと、そう思っていた。 脚部の稼動についての話を聞きながら、僕らはシャワールームへと向かった。僕は備え付けのミニソファに腰掛けて、端末でデータ整理をする。時折シャワーを浴びている中尉に確認を取りながら、しばらくは次回の整備・点検箇所を練っていた。全て打ち込み終わってラボの自分の端末と上司にファイルを転送すると、急にシャワーカーテンの向こうの真っ白な踝が目に入った。 踝といわず、彼の身体は透き通るように白かった。シーツの上でその白い肌を紅潮させた姿が脳裏を過ぎる。脳内の裸体を眺めていると、その彼の瞳を思い出した。濡れて艶やかに光る翠玉。強い意志を宿し、理知的に物事を見据える目だ。あの目に捉えられると、正直僕は錯覚しそうになる。彼をパイロットとしてだけじゃなく、散々否定している友情以上の感情で見ているのではないかと。 「…有り得ないな」 だって彼は人間だから。 「何だ?何か言ったか?」 タイルを打つ水音が止まって、中尉が訊ねてきた。僕は何故だか酷く動揺して、なんでもないのだと繰り返し弁明した。そうだ、彼とは身体の相性がいいだけだ。それだけだ。 僕はしばらくぼんやりと彼のことを考えていた。そのうちに、彼が軍服をきっちり纏って出てくる。しまった。いつもはシャワーから上がるのを待たずに帰ることにしているのに。 「珍しいな。解析が厄介だったか?」 いぶかしむような声音に、内心でむっとする自分に気付く。…何故だ。いいじゃないか。僕に関心が向かないならばそれが一番いいのに。 「…うん、まあ、そうだね」 僕は端末をオフにするとポケットに仕舞い込んだ。彼の目を見る。この目が、いけない。どうしてそんなに真っ直ぐな目で見つめてくるのだろう。僕には何もない、彼にあげられるものはMSだけだ。僕は人間も愛せない男なのに。空っぽで何の価値もない、ただMSだけが僕の存在する目的で、理由。つまらない人間じゃないのか、僕は。どうして、彼は、僕を。 僕は衝動的に彼の腕を掴んだ。引き寄せてその頬に手を添える。ひどく冷たい。 「何、だ?どうかしたのか、」 「水を浴びたのかい?随分冷えてるよ。…髪、ちゃんと乾かしたほうがいい」 中尉は何も言わなかった。寒さのせいか色を失った唇が何かを言いたげに震え、結局閉じられることなく止まる。いつもの自信に満ちた表情はどこへいってしまったのだろう。彼は今、まるで街中で迷子になった子供みたいだった。 「…中尉、そんなに無防備に唇を開くものじゃないよ。…キスして欲しいの?」 僕はそんなことを言って、彼に口付ける言い訳にした。彼は欲情したみたいに短く吐息を漏らすと、ゆっくりと目を閉じた。僕は何をしているんだか。自分の心も数値で解析できればいいのに、と馬鹿なことを考えて、少し笑った。ああ、こうして見ると本当に天使みたいな男だ、と頭の隅で思う。思いながら、そっとその唇を食んだ。触れ合わせた唇は、僕のより暖かかった。 PR 2007/12/27(Thu) 01:05:58
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