ガソダム00非公式ファンブログ
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ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
ネタバレ配慮皆無、週遅れなし。
!15禁!
キリ番踏んだぜ!って方は拍手かコメントでリクをいただければ最優先で何か書かせていただきますぜ旦那
5時も6時も同じだゴラァァァ!
どうせなら貫徹してやらァ!!← ということで捏造過去・ユニオン軍編ビリグラ。 ビリグラ以外のカプ書くと反動でビリグラ書きたくなる罠 僕は、随分遅い入隊だったが、ともかくアメリカ軍に在籍することとなった。僕は技術屋だったから、彼がどんな気持ちで士官学校時代を過ごしたのかは分からない。さぞもどかしかったろうし、それでもきっと優秀な成績で卒業するだろう。彼が常人と異なる道を歩いてきたのは、彼なりの屈折なのだろうと僕は考えていた。MSWADに入りたいという気持ちも、そこに至るための彼独自なルートも嘘ではないだろう。だがきっと、彼のあの暗い目の中にその一端があった筈だ。全ては推測の域を出ないし、彼から話してこない限りは話題にするつもりもない。しかし気にはなっていた。
しばらくは顔も合わせず、互いのフィールドでただただ努力する日々が続いた。彼がMSWADに引っ張られたのは入隊後1年経った頃、―――大学を卒業してから5年が経過していた―――で、僕はそれを彼からでなく異動者名簿で知った。エーカー准尉がMSWAD移籍になった、というニュースはたちまち基地内に広まる。僕はようやく彼に会えるのだと心躍らせた。学生時代、彼の言っていた疑問点や問題点をMSに反映させる作業は続いている。教授の推挙で僕は技術者としてそれなりの地位に就いていた。彼がMSに乗るならば、確実に会うことができるだろう。この5年、ずっと彼の為のMSを考えていたのだ。彼が空を翔ける為の手足を、僕が作るのだと、そう夢見て。 彼本人よりも先に、彼のデータに僕は対面した。端から端まで目を通すと、彼がどれ程優秀かがよく分かった。優秀なだけではない、体格にも恵まれている。180センチというのはMSWADの中でも小柄な方だ。身体は小さいほうがMS内部での自由度が高い。左利きである点はプログラムを組みなおす必要があるが、内部のカスタムは必要ないだろう。逸る気持ちを抑えきれずに、僕はデータから彼の為のプログラムをコーディネイトしてみたりした。 ショッキングな辞令が下ったのは翌日のことだった。彼の担当技術者が決まったのだ。それは僕ではなかった。当たり前だ、彼は優秀で、彼の為にカスタムを施すには僕の地位では相応しくない。僕は愕然とした。彼の担当者になれなかったことにではない。彼の為のMSを作るのは僕だなどと考えていた自分の慢心にだ。夢物語にも程がある。お笑い種だった。僕は、学生時代から溜め込んでいた彼の意見書と、それを元に起こしたチューンの草案を担当者に託した。担当になった上司は目を丸くしていたが、僕にはそれぐらいしかできることはなかった。 「そうか、君は彼の同窓だったね」 「ええ、…彼がいなければ、僕はここにいませんでした」 それは偽らざる本音だった。担当者は力強く頷き、僕の肩を叩いて激励した。ありがたいことではあったが、正直益々落ち込んでしまった。 休憩室のコーヒーベンダーは相変わらず薄いコーヒーを吐き出している。眠気を覚ますには刺激が足りないので、砂糖を3つ入れることにしていた。付け合せにも甘すぎるほど甘いドーナツを用意して、僕はデータと睨み合った。駄目だ。もっと実力をつけて、成果を上げなければ。心は逸ったが、いかんせんショックから立ち直っておらず、よいアイデアなど一つも浮かばない。苛々とコーヒーを飲み干し、カップを乱暴に置いた。背凭れに頭を乗せると、面倒で伸ばしたままになっている髪が首筋を擽った。 「……カタギリ?」 少し眠ってしまっていたらしい。そういえば何日かほぼ徹夜だった気もする。目を開くと、軍服の鮮やかな青が映った。首を振り、どうにか眠気を飛ばす。起きなくてはならない。休憩している場合ではないのに。自分を叱咤しながら顔を上げて驚いた。そこに、グラハムが立っていた。 「髪が伸びたな、カタギリ。ついでに髭も伸びているぞ、無精者」 「…君は、声が低くなったね、グラハム…」 僕はぼんやりと、そんなことを言った。そうだ、声が低くなった。最後に会ったときだって声変わりは終わっていた筈だが、士官学校を卒業しただけあって声に張りが出ていた。少年らしいあどけなさも消え、すっかり男になっている。感慨深く彼を見つめていると、彼は首を傾げて僕を見た。あのはにかむような笑顔はきっともう見られないんだろう。 「それはそうと、私の技術者は君ではないんだな。残念だ」 まさしく現在落ち込んでいる要因を持ち出され、僕は項垂れた。彼はそんな僕に頓着せず、ベンダーでコーヒーを落として隣に腰掛ける。足を組む仕草に、ああ、以前より確実に月日は流れているのだと思った。昔より洗練された所作だ。もとが優雅だったが、ある程度の粗暴さが逆にこなれた紳士らしさを彼に与えている。 「僕もだよ。何の為に5年も頑張っていたのだか…正直自分が情けないね」 「君の論文はどれも素晴らしいじゃないか」 なんでもないことのように言われた言葉が、僕にとってどんなに嬉しいことか、彼にはわからないだろう。思わず顔を上げて彼の顔を見る。 「論文を…読んでくれていたのかい、」 「私を何だと思っているんだ?学生時代だって読んでいたじゃないか。士官学校内でもそれぐらいは読める」 僕にはそれだけで良かった。彼の為に書いていたのだ。彼が読んでくれる以上の幸せはない。これで彼の乗るMSに活用できればベストなのだけれど、今は僕が及ばない。だけど、いずれ。 「…エーカー准尉、君の為のMSを、きっと作る。僕が作るよ」 君に誓う。僕が言うと、彼は見慣れた好戦的な笑顔を浮かべた。彼の利き手で僕の左手を掴み、強く握る。力強い握手は、以前と変わっていない。 「ああ、約束だ。君のMSにきっと乗る」 敵わないな。そう思いながら、僕は苦笑した。こんな顔をされたら、頑張るしかない。この男についていきたくなる。僕は、5年前にも感じたあの興奮が再び蘇ってくるのを感じた。 to be continued... PR 2008/01/18(Fri) 06:54:21
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