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ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
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一発目に下ネタやらかして、二発目死にネタとはどういう了見だ自分orz いいぜ、ほら見せてみろよ、お前の恥ずかしいヤツをさ… というドSな方は下からレッツゴウ 救いも何も無い死にネタだぜ! 偽者警報。回避してください。 何度も悪夢に見た光景が、今、現実に起こっている。 モニターで、彼が撃墜される様子は見ていた。だから、覚悟は決まっていた筈なのだ。
…でも駄目だった。覚悟なんてどの口が言えるだろう。回収されたフラッグのコクピットから彼の遺体が運び出される段になると、自然、手指が震えた。足は竦んだように動かず、脳は考えることを放棄したようで、ただ突っ立って、その行程を見ていた。
彼のフラッグは、MS倉庫の入り口付近に横たえられた。沈黙したその機体を運んできたのは彼の部下たちだった。彼らがフラッグを降りると、作業が開始された。コクピットのカバーが、技術部の連中や下士官の手でこじ開けられる。僕はぼんやりそれを見ていた。その開け方があんまり原始的だったので、進歩した科学もこんなものかと思う。しかし当たり前のことなのだ。内側から操作する人間はもはや沈黙している。外部操作端子が欠損した機体は、そうしてこじ開ける他ない。バールを手に奮闘する彼らは、みな絶望している様に見えた。
僕の願いどおり、彼は僕の作ったフラッグの中で死んだ。安全性が高度に高まったこの世代のMSは、それこそコクピットが破壊されない限りパイロットは死なない。或いは、撃墜されて全身打撲や脳挫傷で死ぬのでなければ。だから、遺体はぐちゃぐちゃで目も向けられないようなものだと思っていた。
しかし、カバーの下から現れた彼の遺体は、異常なくらい美しかった。欠損も、歪んだ部分もない。全身が血塗れていることさえ、彼を美しく見せた。表情さえ引きつっていない。ただ半分だけ目を閉じた、美しい遺体だった。出血の様子から見るに、外傷性失血死だろう。既に傷ついた状態でフラッグに乗ったということは、彼の傍にいた部下たちによって伝達されている。その美しい死に様は、この無茶な操縦をするエースパイロットの死において、本当に奇跡みたいなことだった。
小さな身体だ。医療班が彼の遺体を回収し、担架に載せた時に改めてそう思った。僕の腕に簡単に収まってしまう、愛しいエースパイロット。
涙は出なかった。ただ、唇を噛み締めていたんだろうか、血の味が広がる。そして、冷えた頭で、ああ、最期の戦闘中、彼はどんな独り言を言っていたんだろうかと、毎回確認するレコーダ・ログのことを考えて、少しだけ笑った。
『…これから先は、個人的な遺言である。軍のレコーダに私的なログを残すことをどうか許して欲しい。私のプライヴァシーを保護してくれることと信じて喋る。…もうそれほど時間もないようだが』
しっかりした口調だった。そういえば、12Gに耐えている時も、苦しそうな素振りなんてほとんど見せない人だった。
『ビリー・カタギリ技術顧問』
名指しされた。驚いて、思わず居住まいを正す。共にログを聞いていた数人の同僚たちが、黙ってヘッドホンを外した。僕は目礼をしてその気遣いに感謝を示す。恐らく軍の上層部や諜報機関の耳には入るだろうが、そんなことは彼も承知の上なのだろう。 『ありがとう。…こういうとき、何を言えばいいんだろうな。目が霞んできた。グレイアウトなんてものじゃないな。失血するとこうなるのか。…カタギリ。寒いよ。私は、…何故だろうな、炎の中で死ぬのだと思っていた。なあ。カタギリ。私は謝ることができないが、きっとお前は許してくれるのだろうな。いつだってそうだった。だから私は飛べた。何一つ地上に思いを残さなかった私が、唯空へ行く背を押してくれたその掌だけを憶えている。私の翼。カタギリ。…ばかだな、お前は。私は先に逝くことを謝れもしない男なのに……。ああ、…』
それきり、レコーダは沈黙した。
数人に宛てたのだと思っていた遺言は、全て僕への言葉に費やされていた。
……僕が。暖めてあげられたらどんなに、
最期に、その身体を抱きしめながら、お疲れ様と、これまでよく頑張ったと、労い、髪を撫で、誇りに思うと、そう言ってやれたならどんなに、
僕は、ヘッドフォンを外すと、黙って立ち上がった。そして、まるで何かに急かされるように回収された彼のための、彼だけの、カスタムフラッグの元へと走った。 コクピットは開け放してあった。濃い血臭の中にふわりと彼の香りがした。
僕は、それから、少しだけ泣いた。
PR 2007/12/01(Sat) 23:32:44
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