ガソダム00非公式ファンブログ
/女性向け注意/オンラインブクマ禁止/無断転載禁止/
ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
ネタバレ配慮皆無、週遅れなし。
!15禁!
キリ番踏んだぜ!って方は拍手かコメントでリクをいただければ最優先で何か書かせていただきますぜ旦那
お察しの通り酔っ払いです。そう呼んだ方が以下略 研究室のパーティーから解放されたのが日付が変わる頃で、フラットに着いたのは1時半過ぎだった。うっかり酒豪のクジョウの隣に座ったものだから、限界酒量を軽く超えて飲んでしまっている。顔に出るタイプではないし、酒癖も悪くない(つもりかもしれないけど)が、立ち上がった途端足にきた。最寄駅までは後輩(誰だったかは覚えていない)が支えてくれていたが、フラットまでの道のりが辛かった。よくぞ辿り着いたと自分で誉めてやりたい。えらいぞ、ビリー・カタギリ!僕は自分に口笛を吹いて拍手してやった。 手摺を掴みながらかなり時間をかけて階段を上がる。踏み外して落下し、気でも失おうものならもれなく天使が迎えに来るだろう。あ、いや、悪魔か。悪事というなら数え切れないほどしている。姦淫というカテゴリで。僕は考えながらひどく愉快になって声を上げて笑った。性に関するジョークで死ぬほど笑えるのは酔った時ぐらいだ。そもそも僕はたいしてジョークが上手くない。 笑い疲れてひいひい言いながら自分の部屋のあるフロアまでよじ登った。びっくりした。でも愉快だった。グラハムがいた。座っていたのだ。僕の部屋の前に。 「やあ、ただいまグラハム!」 笑いながら彼に向かい合う形で座り込む。どうして彼がここにいるのか、いつからここにいるのか、その辺りはよく分からなかったが、膝を抱えるようにして座っているのがひどく可愛らしくて(だって彼はまだティーンだもの)、僕は彼の髪を撫でた。いつもなら絶対にやらない。彼はプライドが高いから。でも彼は何にも言わず撫でられていた。ふわふわの髪の毛は撫でていて心地いいけど、ちょっと冷た過ぎた。 「どうしたんだい。彼女は?フラれたかい?あれ、もう別れていたっけ?まあいいや、寒いからうちに入ろうか、ね、グラハム」 「………お前がそんなに酔っているのを初めて見た」 彼は呆れているみたいだった。僕は上機嫌だったので特にそれには反応を返さず、部屋の鍵を開けた。彼の手を握り、引き起こす。急かす様に背中を押すと、やれやれといった風に肩を竦めて家に入った。 彼は部屋の灯りの下で見ると、きちんと盛装していて、デートの帰りを思わせた。…イヴのデートで「帰り」がある辺り、うまくいかなかった可能性が高いけれど、そこはつっこまないでいてあげよう。僕は少ない荷物を下ろすと、上着を脱いで空調を稼動させた。彼は勝手知ったる他人の家で、ジャケットをハンガーにかけ、ソファに座って寛ぎ始める。その様子も何故だかおかしくて、僕はさっきから笑いが止まらない。 「飲みなおす?シャンパンはないんだけど、ビールがあったかな」 僕は冷蔵庫を覗きながらリビングに向かって叫んだ。やっぱり買い置きがある。三本くらい掴んで床に置き、ついでにつまみもないか探した。生ハムとキャンディ・バーがあったのでそれを出した。全部抱えてリビングに行くと、やっぱり呆れたような緑色の瞳がこっちを向いた。 「それ以上飲む気か?」 「だって君、飲みたいんじゃないの?寒かったろ。暖めてほしくて来たんじゃないのかい」 彼は黙った。ついでに視線も外れた。あれ。触れられたくないことだったんだろうか。彼女にフラれたのがそんなに堪えているとは思わなかった。僕はびっくりして、それから急激にすまない気持ちになって、彼の隣に腰を下ろして肩に手を掛けた。ここは、先輩兼友人として慰めてやらないと、だって彼はまだティーンだもの。 「君、綺麗だし優秀だし、うちの大学で誰より魅力的だよ。セックスも上手そうだし」 「は、離せ、カタギリ」 グラハムは明らかに強張った声で言って、僕の手を振り払った。何だ、失恋で傷ついた心を癒してあげられたらと思ったのに。やっぱりプライドの高い彼はそんな直接的な言葉での慰めは逆効果なんだろうか。僕は仕方ないので話を逸らすことにした。彼の耳が赤いので、とりあえずその話題から。 「ん?…君、顔赤いよ。どのくらい外で待っててくれたの。ごめんね。寒かったね。シャワー浴びるかい?」 「遠慮する!」 強い口調で拒否されて、ちょっと面白くなった。なんだ?シャワーが嫌いなのかな。何時間待ってでも友人と飲んで失恋の傷を癒そうとしてたのがそんなに恥ずかしいのかな。 「どうして?」 「君の鈍感さには頭が下がる…」 ぶつぶつとぼやくと、グラハムは大きな大きな溜息を吐いた。ああ!幸せが逃げてしまう!僕は彼の口を塞ごうと思ってとりあえずキスした。なんてね。驚くかな、驚いて彼女のこと忘れるだろうか。 「何をする!」 激怒して突き飛ばされた。ソファに尻餅をつく。自分の格好が滑稽で笑った。ああ、愉快だ。怒りで赤くなって唇をごしごし擦るグラハムが本当に可愛らしい。ファーストキスでもないくせに妙に潔癖なんだなあ、と思いながらビールの缶を開けた。グラハムに差し出すと、要らないとすげなく返される。僕は生ハムを一枚口に放り込み、ビールを一気に流し込んだ。ああ、舌に馴染んだ安い味。素晴らしきかなアルコール。 「まあ、座りなよ。飲むんじゃなきゃ、一体何しに来たんだい?」 「意地が悪いぞ…!」 グラハムは立ったままこっちを睨むみたいに見ていた。その瞬間の彼といったら、ちょっとないくらい綺麗だった。いや、本当に。酔ってるせいかな?そんなことないと思う。部屋の電気を背にして、髪からそれが透けて見えてた。真っ白な肌だから紅潮するとすごく際立っていて、怒って睫が震えていた。目がちょっと潤んでいた。唇が戦慄いて、その間から噛み締めた白い歯が見えた。 「…君って、本当に綺麗なんだねえ…。その髪の毛、日の光と蜂蜜を混ぜ込んだみたいだ。湖水みたいな目も、ブランデーみたいな唇もすごくセクシーだよ。こんなに美味しそうなのに、どうして君、ここにいるんだい?」 って、あ、彼女にフラれたからか。彼女、見る目がないな。僕はたぶん自分で思うより酔っ払っていて、思ったことを全部口に出していた。自分の声で我に返ると、グラハムが憮然とした顔をしてソファに座っていた。膝の上で握った手がぶるぶる震えている。あ、何でか分からないけど殴られるのかな。 「負けたよ。言う、言うから勘弁してくれないか…」 「勘弁」 勘弁?グラハムは項垂れて頭を抱えている。何を勘弁すればいいのやら。グラハムは僕の方を真っ直ぐ見つめて、 「君が好きだ!」 と言った。うーん。 「僕も好きだよ」 そりゃあ、突然訊ねてきた彼を全く違和感なく家に上げるくらいには。人間として尊敬してるし、何より可愛い後輩だと思う。ついでに言うとすごく綺麗だし。 「そうじゃなくて…ああ、…くそ!神よ…!」 「くそ、と神よ、を並列させるなんて君にしちゃ珍しいなあ」 「黙っていてくれないか酔っ払い!」 僕は黙った。うんうん唸っている彼を見ているうち、くらりと視界が回る。ぐるぐる。ふらふら。この浮遊感が気持ちいい。幸せなような、とっても 気持ち悪いような感覚の中で、僕はグラハムが僕の名を呼ぶのを最後に意識を飛ばした。 身体の節々が軋むので起きてみると、ソファで寝てしまったらしかった。ブランケットが掛けられていて、はて、昨日はどの子を泊めたろう、というかどうしてベッドじゃないんだろう、と思いながら起き上がる。この倦怠感はセックス後のものじゃない。どうやら珍しく飲みすぎたらしかった。昨夜の記憶を辿ってみるが、クジョウが赤ワインをラッパ飲みし始めた辺りから途切れ途切れにしか思い出せない。 部屋を見渡すと、テーブルの上にビールが3缶出ていて、全て空になっていた。朝日(いや、もう昼過ぎかもしれない)が眩しくフローリングを照らしている。今日明日は完全にオフなので、寝倒すのもいいかもしれない。のそりと起き上がると、寝室のドアを開けた。金髪がシーツから覗いている。ああ、昨日僕を連れ帰ってくれたのは金髪の子か、誰だろう、と考えながら顔を覗き込んで驚いた。グラハムだった。何故グラハムがここにいるのだろう?二日酔いの頭をフル稼動させるが、大した処理能力を発揮しなかった。よく分からないが、グラハムだったら小柄だし、一緒に眠っても構わないだろう。だってこれ以上ソファで眠ったら僕の腰がゴキゴキになりそうだったし、彼を追い出すには昨日の夜よく分からないがたぶん世話になっている恩がある。と、やっぱり酒の抜け切っていないらしい頭を強制的にオフにして、グラハムの隣に潜り込んだ。彼は香水の類をつけないので、シャンプーの匂いらしい爽やかな香りがした。不思議といい夢が見られそうな気がして目を閉じる。閉じながら、そうか、今日はクリスマスなのだと思い出して、小声で「メリークリスマス、グラハム」と呟いた。彼が身じろいだ気がしたが、瞼が重かったのでそのまま眠りに落ちた。 PR 2007/12/25(Tue) 04:20:51
この記事にコメントする
|