ガソダム00非公式ファンブログ
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ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
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なんとティエロク。 同じ夢を、繰り返し見る。冷たい風が吹いている。ああ、そうかここは俺の故郷だと気付く。馴染んだ風の匂いだ。足元の草が揺れる。目の前には墓石。遠くから讃美歌が聞こえる。視界の端を、葬列が通る。棺桶はとても小さい。子供なんだろう。幾つもの葬列が通り、通り過ぎる度に俺の傍に石の十字架が一つ増える。その十字架は、ぼんやり突っ立ってる間に俺を囲んでいる。どんどん増えていく。早送りしているみたいに時間が進んでいて、朝が来て昼になり日が入り夜になり、また朝がくる。見渡す限り十字架になった頃、とうとう日が昇らなくなる。夜だ。星の見えない夜。風は止んで、俺はひとり、墓石の中に立っている。どれくらいの時間が経ったのだろう。ああ、俺、ほんとうにひとりだ。不意にそんな当たり前のことに気付く。ひどく悲しくて、涙を一粒だけ、零す。
目を開くと紫がかった髪が視界いっぱいに広がっていた。ああ、そうか、今夜はこの青年と寝たんだっけ、と思い出して少し笑った。普段性欲とは縁遠そうな顔をしているというのに、昨晩の余裕のなさといったら見ものだった。あんな顔もできるんじゃないか、と嬉しく思ったのを覚えている。端正な顔を歪めて吐精する様はとても扇情的だった。思い出すとぞくりと快感の名残が背筋を這い上がった。小さく頭を振って上半身を起こす。隣の青年を起こさぬようにそっとシーツから抜け出そうと足を床に下ろすと、唐突に腕を摑まれた。
「起こしたか?」
「…どこへ行くんです」
「どこって…シャワー浴びようかと思ってな」
「泣きにいくんじゃないんですか」
一瞬身体が強張ったのを見逃す奴ではないだろう。嘆息が聞こえる。俺は振り返る程弱くはなく、その手を振り払えるほど強くもない。中途半端な態勢で固まったまま、じっと相手の反応を待つ臆病者だ。
「あなたはいつもそうだ。セックスは誰とでもするくせに、誰にも踏み込ませる気なんかないんでしょう」
「だったら何だってんだ」
「別に。…ミッションに支障がなければ俺は干渉しません」
冷たい手がゆっくり離れていく。それがひどく残念に思えた。俺は立ち上がって微重力の中を逃げるようにシャワールームへ向かった。
ああ、ヴェーダ、こんなとき何て言ったらいいのか教えて欲しい。俺にはわからない、何故こんなに不愉快なのか。あの男のせいだ。あの男があんな声で泣くから、あんな震える手をして強がるから、何も言わずに逃げるから。セックスの間彼は生きていた。確かに生きていた。顔を歪め吐息を乱し涙を零し汗を流し肌を赤く染め呻いて喘いで強請りしがみついて精液を撒き散らし眠った。いつもの何を考えているのか分からない笑顔より余程ましだった。なのにまた、あの男の考えていることが分からなくなる。身体を繋げていれば嫌でも分かることが、今はまた曖昧になった。それが忌々しい。人間はこれだから嫌いだ。生きていればいい、の、に?
「…どうかしている」
あの男のことなどどうでもいい筈だ。そう、それこそミッションさえ完遂してくれるのであれば、他に望むことなどあるはずもない。余計なことを思考するのは労力の無駄だ。こういう時は眠ってしまうに限る。
シーツを被って力を抜く。あの男のフレグランスと体臭が香って不快だった。堪えられずに起き上がってシーツとクッションカバーを引き剥がす。ランドリーボックスに放り込み、全て新しいものに換えた。そうしてようやく安堵して眠ろうとしても、やはりあの男の残り香がする。それが自分からするのだと理解するまでにしばらくかかった。最悪だ。 否、一番最悪なのは、さっきから涙が止まらないことだ。何故なのかは分からない。ヴェーダは沈黙し、俺は理解することを放棄していた。ただあの男が憎くて仕方が無かった。このまま眠ったら、きっとまたあの夢を見る。あの男が涙を零すのを、ただ見ている夢を。 PR 2008/01/26(Sat) 04:46:24
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