ガソダム00非公式ファンブログ
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ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
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幸せなときほど暗かったり鬱だったりする話が書きたくなる紺ですこんばんは← 笑った顔が見たい。それだけだ。 僕には何にもないから、せめて僕をあげるよ、と言うと、ティエリアは怒って僕を突き飛ばした。僕にはその顔が泣きそうなものに見えて、酷く動揺した。 「ティエリア、」 「何故だ」 彼は静かに言った。いつもは声を上げて激昂する方が多い。ゆっくりと顔を上げた彼が、僕の頬を触った。彼から僕に触れてくるのは、覚えている限りでは初めてのことだった。 「俺にはわからない…何故そんな風に言える?君は君ではないのか。君は君とハレルヤのものではないのか」 ティエリアは僕の両頬に触れ、それから耳辺りに滑らせた手で強く僕の顔を挟んだ。ぐいと引かれてティエリアと目線を合わせられる。目の前に彼の紅い目がある。綺麗な目だった。澄んだ目だ。 「俺は何も渡せはしない」 彼は強く言い切ると、顔を歪めた。ああ、また間違えてしまったんだ、と僕はようやく悟った。彼は関係を結ぶ上でフェアであることを酷く重要視した。僕から彼にあげるだけでは駄目なのだ。彼から何一つ要らないと僕が思っていても、彼はそれでは納得しない。僕は彼の首筋を引き寄せて、顔に添えられた手を外させながら抱き締めた。僕よりも随分小柄な身体は、すっぽりと腕の中に納まる。こんな細い身体で戦っているんだ。こんな細い身体で、Gに耐え、常に冷静であろうと、忠実であろうとしているんだ。それがいじらしく、どうしようもなく愛おしい。 「ごめんね、ごめん、ティエリア」 「何故謝る」 「僕は、君にあげられるものは何だってあげたい。君が幸せでいてくれればそれでいいんだ。でもティエリアの気持ちを考えていなかったよ。押し付けて、ごめん」 ティエリアはしばらく黙って何かを考えているようだった。僕はその間、外に出たがるハレルヤにもう少しだけ待って、とずっと頼み込んでいた。ハレルヤもまた、僕と同じようにティエリアに好意を持っている。珍しいことだった。たいてい彼と僕の好みは合わない。僕はそれが喜ばしくもあり、少し妬ましくもあった。 「…アレルヤ・ハプティズム」 「何だい?」 「幸せなど要らない」 僕は彼の声が遠のくのを感じながら、ハレルヤに抗議した。ああ、もう少しだけ、ティエリアの話を聞いていたかったのに…。 「幸せなんざ訪れねぇよなァ」 「……唐突だな」 「さっきから出せって言ってたんだぜ俺は」 ティエリアは溜息をついて、それから俺を抱き締め返した。可愛いものだ。本意を得たとでも言いたいんだろうか。 「お前が欲しいのは痛みだろうよ」 「決め付けるな、不愉快だ」 「ふん、どうだか。…なァ、もしもお前をくれっつったら、どうする」 「……ふざけるな」 俺は声を上げて笑った。ティエリアが少しだけ動揺を見せたような気がしたからだ。こいつの考えていることはよく分かる。こいつはある部分で俺とよく似ていた。アレルヤに見せない部分を俺に見せるのも、きっとこいつが俺と同じように感じているからなんだろう。 「だよなァ。俺だって俺をやるなんて言えないぜ」 茶化すように言った。アレルヤは眠っている。互いがティエリアと会っているときは、なるべく眠っていることが不文律となっていた。だから、何だって、言える。例えばアレルヤに気付かれたくないことも。 「…その身体が、アレルヤのものだからか」 ティエリアが俺から身を離して言った。そうだ。俺の意識は全て、アレルヤのためのものだ。ティエリアにやる分なんて少しもありはしない。この心ひとつ。何一つ、ない。アレルヤは傲慢だ。ティエリアにやりたいならば、何だってやれるじゃないか。真実何も持っていないのは自分だ。だが俺は口の端を歪ませて黙っていた。俺が何か言えばこいつはアレルヤを詰るだろう。それは本意ではないのだ。 「君の片割れは喋り過ぎるきらいがあるが、…君は、本当のことを何一つ言わないな」 ティエリアは顔を俯けた。硬質な髪がさらりと音をたてる。突然キスしたくなって、その細い顎を持ち上げた。唇を触れ合わせると、持ち前の負けん気を発揮したティエリアが舌を入れてきた。貪るように口付けると、普段は絶対に聞けない甘い吐息が漏れる。目を開けると、ティエリアがじっと俺を見ていた。 「ゾクゾクするなァ、その目。…血の色だ」 「…血の色か」 「あァ。いのちの色だ」 久々に嘲笑ではない笑顔を作れた気がした。瞬間、意識が交替した。それでいい、アレルヤ。俺に時間を与えるな。そんなのは、要らないんだ。俺に安らぎなど要らない。 ようやく意識を取り返すと、ティエリアが呆然と僕を見ていた。ティエリア?と呼びかけると、一瞬で我に返って僕から少しだけ身を引いた。 「ねえ、ティエリア」 「何だ」 「いつか、君が屈託無く笑える日がきたらいいのにって、思うんだよ。だから、幸せでいてほしいなんて言ったんだ。…ただ僕が君の笑顔を見たいだけなんだけれどね」 全く、僕ときたらいつだってこうだ。僕の望みを彼に押し付けてしまう。けれど、ティエリアは視線を斜めに落とし、腕を組んでなにやら考えているようだった。 「…では、笑えた、のなら、笑顔を君に渡そう」 思わず、彼を強く抱き締めていた。彼の怒った声を聞きながら、それでも僕は、確かに、幸せだった。 PR 2008/01/18(Fri) 04:36:29
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