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2024/11/22(Fri) 19:34:26

注意書きをしたいですが、すること事態がネタバレなのでできない…!
痛い話です。上級大尉がおかしいです。
2人の身に何があっても大丈夫な方のみお進みください。




 ひとりでも、いきなくては、だめだ。だめだよ。



 いつものようにシミュレーターによる演習を終え、射撃訓練場へと移動した。照準を定める、引き金を引く。いつからだろう、その銃弾はほとんど的を外さなくなった。
「お見事です、大尉」
誰かの賞賛が聞こえたが、私の心には響かなかった。
 この手で誰かの命を奪うということが、以前はひどく恐ろしかった。フラッグに乗るのは誇らしいことだったが、私はその重みをいつだって感じていた。それを忘れてはいけないと、そう思っていた。無論戦場ではその心さえ押し殺さなければならないことも分かっていたが。けれども今、私はそれを感じない。罪悪感を感じることさえ罪に思う。私は唯、オーバーフラッグの一員としてガンダムを追い続け、鹵獲すればいい、その為の犠牲を惜しまず、その機体を手に基地に戻ることだけ考えればいい。

 誰一人、私の変化には気付かなかった。私が表面上は、全く変わっていないように振舞っているからだろう。時折痛ましい顔で大丈夫かと問われはしたが、それだけだ。私は軍の兵器を操る一パイロットでしかない。それ以外の私などなかった。家族はもとより疎遠であったし、女性の寄り付くような男ではない。必要のなくなったフラットは引き払って、私は軍内の寮で寝起きしている。私の人生の全てはMS戦のためにある、そう言っても差し支えないほどに、公私の区別はなくなった。それでも全く構わなかった。不便も不満も感じない。そもそもが仕事人間だったのだし、誰も怪しまない。誰も。

 私はこうなってから、頻繁に夢を見るようになった。同じ夢だ。誰かが笑っている夢だ。微笑なのか苦笑なのか、それとも嘲笑なのか、もやがかかったようによく見えない。ただひどく悲しい夢だというのは確かで、起きると涙を流していることさえあった。枕が濡れるのが不快で、そういう日は一日苛々していた。

 コーヒーを飲む頻度が減った。

 フラッグのシュミレーターに篭もることが多くなった。

 シャツを自分でプレスするようになった。

 

 行きつけのドーナツ店に行かなくなった。

 MSにさほど愛着がなくなった。

 いつ、死んだっていいと、少し思っている。








 ひとりでは、いきられないよ、わたしは。

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2008/01/14(Mon) 02:27:07
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