ガソダム00非公式ファンブログ
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ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
ネタバレ配慮皆無、週遅れなし。
!15禁!
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夜中に書くともれなくイタイ話になるな…! どちらからともなく顔を近づける。僕はいつも、彼が目を閉じる瞬間まで彼の目を見ている。その真っ直ぐで焼ける様な熱を持った目を。湖水みたいな美しい色の瞳が閉じられて、薄い色の睫が間近で震えた。満足して、大人しく瞼を下ろす。乾いた唇を舐めると、コーヒーの味がした。 グラハムとのキスは、いつだって苦しい。その吐息の熱さの分だけ、背後にひたりと離別の気配が寄り添ってくる。彼は僕を愛してくれていたし、僕もそうだった。それなのに何故だろう。いつか離れるときのことを、強く強く意識してしまう。
癖のあるブロンドを掻き混ぜながら、スーツを脱がせる。ネクタイを解き、Yシャツのボタンを性急に外した。全て外すのも面倒で、途中で裾から掌を滑り込ませる。温かくて筋肉の隆起が感じられる肌だ。キスを止めて首筋に口付けた。
「カタギリ、」
「駄目だよ、喋っては」
僕らの間には、最中は喋ってはいけない、という、どうにも意味の分からない取り決めがあった。始めに言い出したのは彼だったが、今では特に理解もできなかった僕の方がそれを忠実に守っている。彼は時折苦痛そうに、或いは面倒そうにしていたが、最後はそれを守った。
目は口ほどに物を言う、とは僕の曽祖父の母国の言葉だが、よく言ったものだと思う。彼の目は、今何を考えているのかを如実に訴えてきた。今弄っている場所がとてもいいのだとか、羞恥を覚えているのだとか、今日はあまり乗り気ではないのだとか、僕以外のことを考えているのだとか。疑うことを知った僕は、彼の言葉を聞くのがただただ怖くて、それでこんな馬鹿げた取り決めを頑なに守っているのかもしれない。
ローションで十分すぎるほど慣らしたアナルに、スキンをつけたペニスをゆっくりと挿れていく。両肩に乗った筋肉質な足が強張り、綺麗な顔が苦痛に歪んだ。最奥まで辿り着いて動きを止めると、腹筋が上下して荒い息が漏れる。きつく閉じていた目がぼんやりと開かれて、僕を見つめた。シーツを掴んでいた手がこちらに伸ばされる。真っ白で滑らかだが、意外にごつくて大きな手だ。僕の手とは違う。何かを掴み取る手だ。勝利、名声、地位、人気、運命、幸福、夢、希望、未来、妻、子供、家庭、……。僕の手も大概白いが、それは外に出ないせいだ。日を浴びないという不健康な生活の賜物だった。痩せて細長い貧弱な手。こんな手では何も掴めない。きみの心さえ。
そっと指を絡め、きついくらいに握る。離れないように。グラハムが頷くのを確認して、僕は腰を引いた。最初は控えていた動きが、次第に余裕をなくして深いグラインドになる。
「ん、…っ、ぅ、…」
彼はいつも、呻くみたいに喘ぐ。気持ちよくない訳ではないようだったが、彼の甘い吐息というものを僕は聞いたことがない。女性が相手のときはもっと甘い溜息を漏らすんだろう。昇りつめる途中で彼が女を抱いている様を夢想する。けれどまるで咎めるように、絡めた指に爪を立てられ、僕は苦笑して集中するしかなかった。彼の剥れたような顔はとても魅力的だった。
「、ひ、ぃァ、あ、…っ、」
もう駄目だと、目で訴えられる。首を振るたびにぱさぱさと金髪がシーツを打った。彼の膝に唇を落とし、了解の旨を伝える。びく、と彼の身体が跳ねて、はやく、と掠れた声で言われた。喋るなと言ったのに。僕がそんな懇願に逆らえる訳が無く、夢中で彼を追い立てて、一緒に果てた。
行為が終わるとしばらくは倦怠感に目を閉じている彼の髪を、何度か撫でる。バスローブを羽織ると、僕は洗面台へ行ってタオルを濡らした。彼の腹を汚した精液を温めたタオルで清め、違うタオルで唾液でべたべたな顔も拭ってやった。汗ばんだ首筋や、僕が舐め上げた腹も。こうして彼への自分の痕跡を消す作業は、ひどく感傷を誘う。彼は汚れない。僕は眩しがるときみたいに目を細めた。
「…カタギリ」
グラハムが身体を拭われながら僕の名前を呼んだ。視線は真っ直ぐ僕を捕らえている。僕はそれが怖くて、拭ったばかりの腹部に視線を落とした。
「何だい?」
「父から見合いをしろと言われた」
彼の身体を拭う手が止まった。あからさまに動揺したことが伝わってしまったろう。僕はどうにか笑みを浮かべようとした。
「…そう。君は、どうするの」
「正直、断れないと覚悟を決めている」
タオルをサイドボードに放り投げ、座った足の間で両手を祈るみたいに組み合わせた。彼に顔を見られるのが怖くて、床をじっと見つめた。
「結婚するのかい」
「気は進まないが、有り得ない話ではないな」
「結婚したら、少しは君の無茶も減るかもしれないね。子供のひとりもできたら、きっと君は猫かわいがりするんだろうな。目に浮かぶようだよ」
自分でも驚くほど、すらすらと言葉が出てきた。本当にそんな風景が脳裏を過ぎって、そんな日の当たる未来が彼には似合うと思った。フラッグファイターとして、夫として、父として立つ彼の姿は、なんら違和感がない。そしてもちろんそこに僕の姿はなかった。
「じゃあ、セックスは今日で終わりかな?」
おどけて言ったつもりだった。言葉を口に出してから、それがひどく重みを持って自分に帰ってくる。腹の底に鉛でも詰められたみたいで、気を抜くとずるずると床に引きずりこまれそうだった。
「君には随分と無理を強いてきたけど、これで晴れて解放だよ。よかったね、グラハム。結婚式は盛大にやってくれよ。僕が友人を代表して挨拶…」
突然、背後のシーツが跳ね上がって、背中から苦しいくらいに抱き締められた。振り払おうとしたが、僕よりずっとたくましいその腕はそれを許してくれなかった。
「…最後のハグかい、やめてくれよ、これでもちょっとは落ち込んでいるんだ、…」
「おまえは馬鹿だ」
「酷いなあ、一体どこが…」
「私を愛しているなんて、馬鹿だ」
僕は足元が崩れたみたいに、全身の力が抜けるのを感じていた。
「君は、ひどい男だな…」
これでは、どこにも行けない。彼が結婚しようが、恋をしようが、他の誰かを愛そうが、僕が彼を愛していることは変わらない事実になってしまった。そうして逃げ道をなくすことが残酷に思えた。
「…結婚なんてしないでくれと。そう言えばいい、カタギリ」
「どうして君は…!…ッ、」
あまりの言葉に彼の腕の中で振り向くと、ぶつけるようにしてキスされた。ああ、やはり離別を直ぐ傍に感じる。いつ壊れるか分からない関係が怖くて、怖くて、目の前の男から逃げ出したかった。だって、この男はそう言いながら、僕にそう言わせながら、きっと近いうちに結婚するのだ。幸せそうな花嫁。式場で僕は全身が痛む思いをしながら、笑って祝福をする。この男を憎むとか恨むとか、そんなこと到底できる訳がないんだ。
「カタギリ、」
「言わないよ。見合いして結婚してくれ。愛してるんだ、…君を、愛してる」
グラハムはそれきり何も言わなかった。言葉なんて。痛みしか運んでこないのだから、やっぱり必要ない。僕は、目を閉じて彼の体温と体臭を感じながら、泣けもしない自分を嗤った。
PR 2007/12/18(Tue) 04:36:09
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