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ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
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17話後。 ああ、眩しいな。そう感じて目を細めた。翳した掌の向こうに、目が痛くなるような鮮やかなスカイ・ブルー。空の色だ。彼らが自由に飛ぶ場所。そこが地上よりも自由であることを僕は祈った。ここは不自由だ。僕らは生きている、ただそれだけで柵や制約を抱え込んでしまっていて、雁字搦めにされて動けやしない。けれど彼らパイロット達は、そういった邪魔なものたちから完全に解き放たれているように見えた。本当はそんなことないんだろう。分かってる。 でも、そう。彼らは僕のヒーローなのだ。いつだってそうだったし、これからもきっとそうだろう。どんな困難にも怖じずに立ち向かって、不遜な顔で笑う、それを望んでいる。彼らが飛ぶために僕は幾らでも尽力しよう。 ヒーローは、そんなに早く退場するものだったろうか。 目の前に並ぶ幾つもの、本当に多くの棺を見つめながら、僕はそんなことを思った。ユニオン・フラッグがかけられた棺。そのうちの幾つ、中に何かが入っているだろう。空っぽの棺が、たくさん並んでいるはずだった。何一つ残らないというのは、なんと虚しいことなのだろう。遺族のことを思った。遺品さえない死というものが、ここにはある。 フラッグ・ファイター、僕にとってのヒーローに捧げた機体は、そのまま彼らを死の旅へ連れて行くいれものになる。それを分かっていながら、唯僕は祈っていた。彼らがまた地上へ戻り、彼らが自由であるようにと。けれど彼らは、最後に、死に拘束されたのだ。 僕と共に彼らを飛ばそうと尽力していた仲間も、たくさん死んでしまった。基地は8割超破壊され、同じくらいの割合の人間が死んだ。虐殺だった。抵抗する手段などなかった。5分に満たない時間で、基地は容赦なく蹂躙された。 そうして立ち尽くしてどれくらいの時間が経っただろう。軍靴の音が近づいてきて、隣に誰かが並ぶ気配がした。見ると、鮮やかに光る金色の髪。ああ、この男のこんな顔を初めて見る、と思った。彼はきっと泣かないのだろう。僕もまた、泣けないのだ。慕っていた師さえ亡くしたというのに。 「お前の言っていた言葉に今なら同意するよ」 彼の口調は、少し昔に戻っているように思った。彼がまだティーンだった頃、彼はまだここまで硬い口調で喋ってはいなかった。軍に入ることで、彼は何を失って何を得ただろう、そんなことを考えた。 「どんな言葉だい」 「『皆僕を置いていく。馬鹿ばかりだ』」 ああ、そんなことを言ったこともあったな、と懐かしく思い出した。まだ、失うことに慣れていなかった頃だ。あの頃は、一人のパイロットの死に何度も涙を流すことができた。僕の感覚は麻痺してしまったのだろうか。涙は、乾いてしまうものなのだろうか。 「進まねばならないのに」 グラハムはぽつりとそう言ったきり黙った。僕は堪らなくなって、でも彼に今触れるのが何故だか怖くて、ただ前を見ていた。ずっとずっと、見渡す限りの棺を。 眩しい、そう思った。翳した掌の向こうに、目が痛くなるような鮮やかなスカイ・ブルー。 PR 2008/02/06(Wed) 03:33:18
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