【在りし日】

ユニオンの在りし日ＳＳＳ。
追悼文に代えます。
カタギリしか喋っていないけれど、気持ちはすごく込めました。
ユニオンを最後まで見届けます。

　ゆっくりと旋回して飛行形態のまま着陸する。管制塔のオペレータに従って機体を走らせていると、突然オープン・チャンネルで通信が入った。サイドモニターに見慣れた白衣の男が映る。
「何だ？」
『最高だよグラハム！！素晴らしい数値が出た！これでもうちょっとプログラム組みなおせるよ、全く君ときたらいつだって予測不可能だねえ、困るよ技術部の睡眠時間をまた減らす気かい？とにかくおめでとう、戻ったらメディカル・チェックちゃんと受けるんだよ、それからメイスン准尉とダッジ曹長と一緒にこっち顔出してねブリーフィングあるから頼むよ教授と待ってるそれじゃ！』
一方的に並べられた言葉を咀嚼し終わる頃には、既に通信が切れていた。カタギリはしばしば、オープン・チャンネルでグラハム一人に向かって話すことがあった。本人に指摘しても、興奮していたよ、次から気をつけると言うばかりだ。そうやっていつも部下と笑ってしまう。今回のは特別大興奮だったな、とグラハムは声を出して笑い、それにハワードやダリルの声が重なった。