ガソダム00非公式ファンブログ
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ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
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キリ番踏んだぜ!って方は拍手かコメントでリクをいただければ最優先で何か書かせていただきますぜ旦那
ビリグラ久しぶりな気がするすみません。
…あれーレポートやってたはずなのになーあれー ………書くならお返事しろよ!と自分に右ストレートかましながら再びレポートやります。 拍手・メルフォありがとうございます!テストとレポート地獄が明け次第早急にお返事させていただきます…! 遅くて申し訳ありません!!orz 2000字ちょいって…レポート字数と同じじゃないか…何故レポートは進まないんだろうか 自分の中では甘々なのに、なんとなく病んでるのはどうして… キスまで。三人称久々に書きました。 いつもよりデスクワークが早く終わったので、グラハムは研究室前で待つことにした。彼にしては珍しいことである。常ならばどちらかの部屋に先に戻り、冬ならば暖房を、夏ならば冷房を効かせてビールでも開けている。だが何故か今日は待っていたい気分だった。彼の恋人であるところの研究者は、ここ数日ラボに缶詰になっており宿舎に帰っていない。今日辺り目処がつくであろうことが長い付き合いの彼にはよく分かっていた。 タイムカードを切り終えて格納庫を出る。身を切るような寒さがグラハムを襲った。こうして冬の風に晒されると、いつだって故郷を思い出す。少しだけ長い瞬きの間、瞼の裏に浮かぶ故郷の風景は、彼を少しだけセンチメンタルな気分にさせた。生家の庭の大きな木の残像を振り払うようにジャケットの前をかき合わせると、身体を強張らせて背を丸める。知られていないことだが、彼は寒さが然程得意でない。背筋を伸ばして颯爽と歩く姿からは考えられない格好をしながら、彼は駆け足で研究棟に飛び込んだ。空調は完璧な研究棟の廊下を、ようやく普段のペースで堂々と歩く。通いなれたそのルートを辿りながら、そう言えばあの男は寒さが得意なようだ、と思い出した。研究者はカナダ育ちで、ここより寒い場所からやってきた。故郷にはどんな風が吹くだろう、どんな家で育ったのだろう。常に無いことをしているせいか、考えたこともなかったことが頭の中に浮かんでは消えた。 ラボ室群の前には簡易守衛室があって、そこでIDと訪問目的のチェックを受けることになっている。とはいえ、グラハムは仮にもこの軍の誇るエースパイロットで身元は確かであったし、研究所の権威であるエイフマン教授の秘蔵っ子と名高い天才、ビリー・カタギリとは無二の親友であるというのが周知の事実ということもあり、どの時間帯の守衛にも大方顔パスが効くようになっていた。今回の守衛もグラハムを見ると親しげな笑みを浮かべて敬礼をした。無駄の無い動きで敬礼を返す。守衛は敬礼を解いて、胸元のIDを差し出すグラハムに肩を竦めて見せ、少し困ったような顔を見せた。その顔の意図が分からずに首を傾げる。すると、守衛は残念ながら、と前置いて言った。 「技術顧問でしたら、つい先程お帰りになられました。ちょうどすれ違いでしたね」 「帰った?」 「ええ。…今なら、まだロッカールームに居られるかもしれません」 眠気に勝てずに帰ったか。迎えに行くとメールしておけばよかったな、とグラハムは苦笑した。守衛に謝辞を述べ、くるりと踵を返す。折角迎えに来たのに会えなかったのは残念だが、追いついて後ろから疲れた身体を抱き締めてやればいいことだ。グラハムは悪戯をする子供の顔をして、小走りに元来た廊下を戻っていった。 守衛の青年が言ったとおり、カタギリはロッカールームにいた。気配を消してドアを開けたところ、突き当たりで俯いて白衣を脱ぐ長身の男がいたのだ。あの長い髪で男子更衣室にいるのはカタギリくらいだろう。グラハムは足音を立てぬ様にゆっくりと近づいた。ハイネックのTシャツを脱ごうとしているところへ何も言わず後ろから抱きついた。視界を塞がれているカタギリは、一度びくりと身体を跳ねさせて息を飲んだようだった。グラハムは耐え切れずに笑って彼をきつく抱き締める。 「…グラハム、あまり驚かさないでくれよ、心臓が止まるところだったじゃないか」 カタギリは悪戯を叱る親のような口調で、苦笑しながら服を脱ぎきった。細いが、薄っすらと筋肉がついている身体だ。デスクワークが仕事の癖にそんな身体なのは、未だアナログデータが無くならないせいで膨大な書類を抱えていることが少なくないせいか、それとも趣味でペンチやドライバーを持ってMSの細かい設定を弄っているせいか。とにかく、グラハムはその身体も結構気に入っていた。 「すまなかった。ところでもう帰るのだろう?夕飯は私が作ろうじゃないか」 「全然悪いと思っていないくせによく言うよ、君は。…確かにその提案は魅力的だけどね。…ねえ、グラハム、困るよ…離してくれないと服が着れない」 その、甘やかすような声音に、グラハムはすっかり聞き惚れた。やはり今日はどこかおかしいらしい、と彼は思った。その声を聞いているだけで泣きたくなるのだ。故郷のことを考えたときに似ている。ひどく甘くて、しかも締め付けられるような切なさを感じた。 「…グラハム?」 背後の恋人の異変に気付いたカタギリは、肩越しに振り返って彼の名を呼んだ。グラハムは顔を上げられずに、ただカタギリに回した腕に力を込める。すると、諦めたようにカタギリの身体の力が抜けた。腕を抱き締めるように、その細い手が触れてきた。グラハムは柔らかい金の髪をカタギリの背中に押し付ける。カタギリからは、ほんのりとエキゾチックな香りがした。彼は、アジア系だからだろう、そういった香りを好んで纏った。この香りがいつしか馴染んで、グラハムの部屋着やシーツにも染み込んでいる。そのことを思い出した。 「今日は甘えたい気分なのかい?仕方が無いねえ…」 「ああ…今日は特別らしい」 あやす様にぽんぽんと腕を軽く叩くその手が愛おしい。彼は目を閉じて、カタギリの全てを感じたいと思った。小さな息遣いと、脈動と、筋肉の収縮が聞こえる。顔の位置をずらしてカタギリの背中に耳をつけると、遥か上空で吹く風のような音がした。それはひどく冷たく、しかし彼の居場所で、それから自由の匂いがするのだ。それがカタギリの体内からするということに、グラハムは小さく息を飲んだ。腑に落ちた。ゆっくりと顔を離し、腕から力を抜く。するりと落ちた腕を怪訝に思ったのか、カタギリが振り向いた。その顔を仰ぎ見ながら、グラハムは呆然と立ち尽くしている。 「…君、泣いているのかい?」 カタギリはグラハムの顔を見ると、柔らかい表情から一転して真剣な顔をして言った。おかしなことを言う、とグラハムは思う。彼は涙など流していなかった。けれど、カタギリはグラハムの両頬を長い指で包むと、両目の眦にキスをする。グラハムは、全身がぎしりと軋むような痛みを感じた。どこが痛いのかよく分からなかった、けれども、どこかが確かに痛いと訴えていた。 「グラハム、今何を考えているのか、教えて」 「…どこかが痛いんだ、カタギリ、お前といると。私は、幸せというのは、もっと…明るくて、美しくて、穏やかなものだと思っていた、確かにそういうときだって存在した。だが、…今、私は絶望していたんだ、カタギリ。お前を愛するということは、こんなにどうしようもないものだったろうか…」 カタギリに促されると、するすると言葉が出て行った。何を喋っているのか良く分からなかったが、グラハムにとり、それは確かな真実だった。カタギリは黙って聞いていたが、ゆっくりとグラハムの手を取って、冷たいその指先を絡めてゆるりと握った。その指先が悲痛だと、グラハムはぼんやり思った。 「君といるとね、たまに、君を殺してしまいたくなるんだよ。どうしようもないね。愛するってもっと、余裕のあるものだと思っていた。いつも崖の淵に立っているような、気持ちでするものではないのだと思っていたよ。君が、僕に教えたんだ。人間が、どんな風に、人を愛せるのか。人間がどんなに美しくて醜くて愚かで脆くてしぶとくて愛おしいか。君が、教えたんだ」 いつも穏やかなカタギリらしくない、過激な物言いだった。それだから、真実だとグラハムにはよく分かった。絡めた指を握り締める。カタギリの鳶色の目を見つめると、少しずつ顔の距離が縮まった。重なった唇は、二つとも冷たくて乾いている。哀しいキスだった。絶望の味がする、とグラハムが言うと、カタギリは泣きそうな顔で笑った。 PR 2008/01/29(Tue) 05:24:30
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