ガソダム00非公式ファンブログ
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ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
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ビリー→グラハム。何年か前、2人とも今より若い感じで。 彼は、いつも振り向かずに行く。 彼は時折僕の髪を弄った。不精で伸ばしているだけなのだが、どうやらその手触りがお気に召したらしい。肩に腕を回してきたり、抱き締めてくることもあった。けれどそれが親愛の情を示すものであることを僕は知っていた。 僕の方は恋愛感情があったのだ。触れられれば嬉しいし、傍にいたいと願った。けれども互いに求めているものが違う限り、擦れ違っているという感覚は拭えなかった。 彼は、僕の気持ちを知っているのかもしれなかった。そうとしか思えない瞬間もある。彼自身それを楽しんでいるのかもしれない。それがたいそう憎らしかった。けれど、敢えて言わないその関係を楽しんでいる僕がいるのも事実だった。 彼と僕との関係は、上手く既存の単語で表現することが出来ない。仕事上のパートナーが一番近いのだろうが、それもよく分からない。親友とも違うし、恋人であるはずもなく、保護者と被保護者でもないし、友達、という生ぬるいものでもないような気がした。 彼と一緒に眠ったことがある。大学時代の合宿でのことだ。部屋が騒がしく眠れないと言った友人にベッドを譲った僕は、当然のことのように彼のベッドで眠った。彼もそうしろと言った。彼は直立不動でいた。男2人眠るには、シングルベッドはとても狭かった。僕は彼を抱き締めて眠るのが寝やすいと感じたが、彼はああ見えて繊細で、気をつかう男だからそうした。けれど足が触れて、僕の足がひどく冷えていると知ると足を絡めてきた。暖かい足だった。とても心地いいと思った。同室の男は眠りたがらずにしょっちゅう彼に話しかけた。僕には話しかけ辛かったんだろう。彼は眠かったのか、僕の手を強く握って、あいつを黙らせろと小声で訴えた。だから代わりに僕が返事をして、一方で彼をなだめすかし、同室の男には「彼は眠ってしまったみたいだ」と言って誤魔化した。彼は僕の手を離して眠りについた。正直残念だった。翌朝目覚めると、彼が起きるところだった。「今何時だい」と訊ねると、「6時半。いい、寝ていろ」という返事が返った。「起きるよ」と言うと、「食事当番じゃないだろう。まだ寝ていろ、な」と言われて布団をかぶされた。大人しく眠りにつきながら、その寝起きの声が貴重で、そしてちょっとセクシーだと感じた。そのまましばらく眠った。 彼の寝顔は天使に似ている。色が白くて、金色の癖っ毛をしていて、その髪がちょっと頬にかかっていようものなら、間違いなく天使に見える。そう思っているのはきっと僕だけではない筈だ。もっとも、起きれば天使というより闘神といったほうが似合う男ではあるが。 彼はとても傷つきやすく、繊細で、そして子供だ。頑固でわからずやで、優しくて冷淡でもある。紳士的で、時折世間知らずで自分勝手だ。眠たかったり疲れていたりするとすぐ無口になる。そして駄々っ子だ。わがままで聞きわけがなく、堪え性がない。そんなところが全て愛おしいのだから始末におえない。 そういえば、彼に怒られたことがある。僕が不注意で階段から落ちた翌日のことだ。頬骨の上辺りにかすり傷を作って彼に会ったところ、「馬鹿か!」と怒鳴られた。びっくりした。面食らっていると、彼は一瞬ばつが悪そうにし、「スリッパなど履いて歩いているからだ」とだけ言った。もっと心配するとかどうとかしろよと思ったが、はあ、と返事をするだけで精一杯だった。彼流の心配の仕方だと理解するまでにしばらくかかった。 それから、彼は決して振り向かない。彼を見送る時、僕は彼の背が見えなくなるまで突っ立っているのだが、彼は一度も振り向いたことがない。彼の背中は何者をも拒んでいるように見える。僕にはそれが、少し切ない。 PR 2008/02/11(Mon) 03:30:24
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