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ユニオン中心!ビリグラ。時々アレハレティエとハムサワ。
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ネタがいっぱいあって書ききれん…! 努力。根性。俺が一番嫌う類の言葉だ。
言葉にした途端に陳腐になる。精神論はごめんだし、ひけらかすのはスマートじゃない。だから、努力していないとか根性がないとかいう言葉には耳を貸さなかった。実力で認めさせてやる。自分で自分を信じられるだけのことは全てやっていたし、それは俺だけが知っていればいいことだった。
それがあっさりと覆されたのは、ユニオンとの模擬演習の時だった。
既にエースパイロットと言われて久しかったし、今のところは友好関係にあるものの、いつ小競り合いが起こってもおかしくないユニオンとAEUの合同演習なのだ。負けようものなら降格されるかもしれない。そのくらい重要な行事ではあった。もちろん俺は負ける気など微塵もなかった。
が、結論から言うと、AEUが負けた。完膚なきまでに叩きのめされ、正直愕然とした。俺の他3機ほどは残っていたが、10機中7機がペイントライフルで狙撃され、こちらはたったの2機しか仕留められなかった。タイムアップで俺たちの負け、である。恐ろしい話だった。
互いに握手を交わすべく、イナクトとフラッグが整列してコクピットから出る。メットと手袋を外し、足元に置いた。MS戦後の高揚感と打ちのめされたショックが同時に襲ってくる。振り切るように走って整列した。
一人ひとりと握手して礼を言い合い、さあ散会、という段になって、急に背後から名を呼ばれた。フルネームでだ。その、少し高くてよく通る声に思わず振り向く。
「…ああ、やはり君があのパトリック・コーラサワーか!」
最後に握手を交わした金髪の男だ。顔の作りがまるで少年で、年齢が読めない。声の調子から20前後かと予測した。快活そうな笑顔だった。
「そうだが、何か用か?」
名前の前に『あの』がついた時点で、どんな内容のことを言われるのかは想像がついた。うんざりする。今回の戦闘で思うように動けなかったのは自分でも分かっていたし、これからデータを何十回でも見直して改善点を見つけるつもりだった。指摘されるまでもないのだ。しかし男は、すたすたと歩み寄ってくると、その大きな碧眼で俺を見上げて予想だにしないことを言った。
「君の操縦は随分エキセントリックだが、技術がないとあれはできないな。一度捻り込まれた時は正直焦った。有意義な演習だった、ありがとう」
その目は好奇心に溢れていて、眩しいくらいに輝いていた。呆然としていると、男は勝手に喋り続ける。
「ああ、申し遅れたが私はグラハム・エーカーだ。また演習の機会があれば是非君と当たりたいものだな。まあ、負けるつもりはないが、それは君も同じだろう。次が今から楽しみだよ」
頭をガツンと殴られたような気がした。この男は、俺を認めている。俺の技術を見てくれている。
「ではまた、いずれ」
涼やかに笑って敬礼をして去っていく。その背中に俺は叫んだ。
「次は、絶対負けねえからな!覚えておけよ!」
少しだけこちらを振り向いてひらひらと手を振るその姿を、しっかりと記憶に刻んだ。覚えておきたいのは俺の方だ。きっと、勝ってみせる。あの男に、自分が今日からどれだけ成長したのか見せてやるのだ。
それから、3年後、俺は模擬戦2000回で負け無しの記録を作った。
over PR 2007/12/12(Wed) 02:45:05
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